口呼吸について

みなさん、こんにちは。
大郷町歯科医院、院長の室月です。

今回は口呼吸について、お話ししてきます。
まず口呼吸には、鼻性口呼吸と、歯性口呼吸に分類され、それぞれの治療法は異なっています。

はじめに鼻性口呼吸の治療法を説明します。
鼻性口呼吸の主な原因は鼻閉塞であり、その多くは近年患者数の増大しているアレルギー性鼻炎や蓄膿症といわれる慢性鼻炎や慢性副鼻腔炎、鼻中隔彎曲によるものがあります。
また、咽頭扁桃の腫脹や口蓋扁桃肥大、アデノイド肥大なども原因として挙げられます。
小児期にこれらの疾患があると多くの場合、口呼吸をすることになり、アデノイド顔貌に見られるような鼻腔や歯列の発育異常を起こしやすくなります。
こうした場合は、患者に耳鼻科の受診を勧める、耳鼻科的な疾患が改善することにより、歯周炎をはじめとする歯科疾患の予防にもなります。

続いて、歯性口呼吸の治療法についてです。

まず第一に歯列異常の改善です。
前歯部に叢生や前突があると口唇を閉鎖しにくくなります。
さらに歯周炎が進行することにより、上顎前歯の挺出や歯間離開を伴う前突が起こり、口呼吸をますます助長します。
そのため、歯列矯正による歯列不正の改善は発育段階においても有効であるが、成人においても歯周-矯正治療を行うことで、口唇閉鎖を容易にし、口腔乾燥も改善されることで、プラークの付着の減少を図ることができ、またブラッシングも容易になります。

続いて、歯肉増殖症に対する処置です。
口呼吸を長期に行ってきた場合、前歯部に歯肉炎や歯肉増殖を起こしやすいです。
前歯部における歯肉増殖は、口唇の閉鎖を困難にします。
そして、口唇閉鎖不全はさらに前歯部歯肉を乾燥させ、歯肉の炎症や増殖を強め、さらに閉鎖を難しくするという悪循環になります。
そのため、歯肉の炎症や増殖を除去することが大切であり、徹底したプラークコントロールによる口腔衛生状態の改善を図ります。
また、歯周基本治療だけでは歯肉の改善が見られない場合や重度の歯肉増殖の場合には歯肉切除術の適応となります。

そして、次に口唇閉鎖不全の改善があります。
覚醒時においては鼻呼吸を行っているが、睡眠時において口呼吸をしている場合があります。 この場合、補助用具を用いて睡眠時の口呼吸の為害性を軽減する、就寝時の口唇閉鎖を補助する手段として、サージカルテープを口唇に貼る直接的な方法やオーラルスクリーンを使用する方法があります。

サージカルテープは通気性のある絆創膏でかぶれにくい、幅約1cm、長さ約10cm程度のサージカルテープを2本用意し、左右の鼻孔の下からオトガイに平行に貼付して就寝します。
この際、くしゃみなどで鼓膜を損傷しないようにするため、テープで口唇を完全に塞がないようにします。
オーラルスクリーンは厚手のビニールなどで作った楕円形の膜で、 前歯部の口腔前庭部に挿入し、就寝します。
サージカルテープやオーラルスクリーンを使用して、1~2日は異物感などのため無意識にこれらの補助用具を取り除いてしまうことが多いですが、その後は慣れてくることが多いです。

いかがでしたでしょうか。
口呼吸は身近な問題であると思います。
何か疑問に思ったことがありましたら、遠慮なくご相談ください。