みなさん、こんにちは。
大郷町歯科医院、院長の室月です。
本日は口臭について詳しくお話ししていこうと思います。
近年、生活レベルの向上や清潔志向の高まりなどにより、口臭に対する国民の関心が高まってきています。
テレビをはじめとする各メディアにおいても、毎日のように口臭予防効果を強調した歯磨剤や洗口剤が宣伝されています。
それだけ口臭治療への関心も高まっていて、口臭に悩む患者の増加を受けて、いくつかの大学病院では口臭専門外来が設置されています。
口臭専門外来だけでなく、一般の歯科医院に口臭を主訴として来院する患者も少なくはないですが、実際は患者の訴えとは異なり、口臭を認めないいわゆる自臭症であることも多いです。
口臭治療においては、実際に口臭といえるような臭いがあるかどうかを判定し、口臭を認める場合にはその原因がどこにあるのかを調べることが重要です。また、先に述べたように、口臭は精神的な問題も関連しているため、自臭症が疑われる場合、心理的なケアも必要となってきます。
ここで口臭症の分類についてお話ししていきます。
口臭症に対する国際的分類として、大きく3つに分類されています。
この分類は治療必要性に基づいて分類されていることが特徴です。
1 生理的口臭の治療法
口臭の治療は、治療必要性に基づいて行います。
生理的口臭の治療は、舌清掃を含めた口腔清掃が中心となります。
舌清掃は口腔内の衛生状態を維持するために必要不可欠であり、実際に舌清掃することにより揮発性硫黄化合物は明らかに減少します。
生理的口臭は主に舌苔が付着しやすい舌背に由来する口臭であるため、舌清掃は生理的口臭の治療の中心的な方法であるといえます。
舌清掃には舌ブラシなどを用いて行います。
ただし、1日1回程度の清掃にとどめ、舌粘膜を傷つけないためにも過度の力を加えないようにさせます。
もちろん舌清掃に加え、通常のブラッシングによるプラークコントロールも必要です。
2 口腔由来の病的口臭の治療法
口腔由来の病的口臭では、その多くが歯周病に由来しますが、やはりこれも主に舌苔から発生しているといわれています。
ほとんどの場合、先ほどの口腔清掃に加え、歯周治療や齲蝕の治療などが必要であり、 これらの処置により口臭は著明に改善します。
口腔乾燥症も口臭の原因であり、口腔乾燥の副作用を有する薬剤の服用の有無を調べることや、唾液分泌に異常がないかなどもチェックする必要があります。
この場合、健常者より一層のプラークコントロールが必要です。
また、唾液分泌を促進するチューインガムの咀嚼や人工唾液の使用も有効です。
歯磨剤や洗口剤の中には、口臭を抑制および予防する効果を強調しているものも数多く存在します。
しかし、実際のところは科学的根拠に基づいたデータのないまま、販売されているものも少なくないのです。
洗口剤には各種の殺菌成分や香料、アルコールが含有され、これらの使用による副作用も考えられるため、使用の際には歯科医師の指導が必要です。
3 全身由来の病的口臭の治療法
官能試験や口臭測定器により明らかに口臭を認めますが、舌苔や歯周病などの口腔由来の原因が見られない場合は、全身由来の口臭である可能性が高いです。
こうした場合は、耳鼻咽喉系疾患や呼吸器系疾患などが考えられ、それらの治療が優先されます。
4 仮性口臭症、口臭恐怖症の治療法
仮性口臭症と診断された患者の場合、カウンセリングを行い、患者が自分の口臭が心配するほどのものではないということを了解できるように導くことが必要です。
この治療には心身医学的アプローチが必要になってくるため、十分に時間をかけ、 患者が納得するまで根気よくカウンセリングを続けます。
口臭恐怖症の患者に対しても同様ですが、心療内科(心療歯科) や精神科との協力も必要になってきます。
いかがだったでしょうか。
ひとえに口臭といっても、様々な原因と治療法があります。
不安がある場合は是非ご相談ください。