お子さんの治療の際、親御さんはどうすればいいの?

みなさん、こんにちは。
大郷町歯科医院、院長の室月です。

お父さんお母さん方は、お子さんの歯科治療の際に、そばにいてあげた方がいいのか、悩まれたことはございませんか。

今日は小児の歯科治療について、詳しく説明してまいります。

治療において、お子さんのさまざまな行動を理解するためには、歯科診療でお子さんがまず不安、恐怖などの情動的行動の発達心理学的な関係を明らかにしなければなりません。
お子さんに対しては、その心理学的対応をはかりながら、小児の発達段向に応じた適切な対応を考えていく必要があり、常に「tender-loving-care (TLC)。優しく愛情をもって接する」の精神のもとでの対応が、小児の歯科臨床における基本と言われています。

小児の歯科臨床においては、診療前の待合室での不安、恐怖あるいは疼痛の予感など、さまざまな情動変化がみられます。
小児の情動変化は、診療室に入り、歯科諸施術を行うときに最高潮に達し、治療の妨げとなる、さまざまな行動をとることが多いです。

小児歯科が成人歯科と異なるのは、成人を対象とした歯科治療では歯科医師と患者が1対1の関係であるのに対し、小児を対象とした歯科治療では患児、歯科医師、保護者の3者の相互関係で成り立っていることです。
この3者の相互関係を小児歯科三角とよんでいます。

(1) 歯科医師と保護者

歯科臨床において小児の対応がむずかしい理由の1つに、保護者が術者や治療に対していかなる態度をとるかがあります。
小児の治療には保護者が付き添ってくる場合が多く、小児は保護者の表情や言動に影響されやすいです。
保護者が不安にみちた表情をして、歯科医師、歯科医療スタッフに心を開かなければ、治療を円滑に進行することができなくなってしまいます。
そのため、小児の歯科治療を円滑に進めるためには、保護者と術者との信頼関係の確立と、保護者が安心できる環境づくりが重要となってくるのです。

(2) 小児と保護者

小児の性格的あるいは行動的諸特徴は家庭のあり方、特に保護者の養育態度に影響されます。
日常生活のなかで、歯科医師や歯科治療に対する恐怖を暗示されている小児では、治療場面へ円滑に導入することは難しいのです。

(3) 保護者からの小児の分離

歯科治療を小児1人で受診させるか否かは、小児の心理発達の状態を十分考慮して慎重に判断しなければいけませんが、小児は保護者に依存心が強く、特に母親の付き添いがあると、術者と小児のコミュニケーション、ラポール形成が阻害され、治療の進行の妨げになることが多いです。
そのため、従来より意思の疎通が可能となる3歳以上では、診療に際しては保護者と離して、小児1人で治療できるようにつとめるのが原則であるとされてきました。

しかし、歯科治療に母親が付き添うことにより安定した行動がとれる年長児もいることから、近年、年齢のみを基準に、無理に母子分離をする必要はないと考えられています。
診療室における母子分離は、術者、小児、保護者の信頼関係が確立され、治療に慣れてくれば、分離不安も減少するため、自然なかたちで徐々に行うのが望ましいといわれています。

治療時に母親が付き添う場合には、術者と小児のコミュニケーション、信頼関係の形成を妨げないように、母親は術者を信頼し、小児への不要な声掛けや働きかけをさけ、リラックスした態度で付き添うことが重要です。

お子さんの治療に際しては、保護者の方々も不安な点が多いことかと思います。

疑問点がありましたら、遠慮なく歯科医師またはスタッフにお尋ねください。