みなさん、こんにちは。
大郷町歯科医院、院長の室月です。
今回は先月お話しした口呼吸のお話の続きを書いていきます。
おさらいをすると、口呼吸とは、「鼻腔の代わりに口腔を介して、行われる習慣的の呼吸のこと」です。
その口呼吸は鼻性口呼吸、歯性口呼吸、そして原因となる鼻腔や口腔の異常が認められない習慣性口呼吸に分類できます。
前回、鼻性口呼吸の治療法について記しました。
今回は残り二つの治療法について書いていきたいと思います。
①歯性口呼吸の治療法
(1)歯並びの改善
前歯がガタガタに並んでいたり、出っ歯になっていると唇が閉じにくくなります。
さらに歯周炎が進行すると、前歯がさらに出っ歯になり口呼吸をますます助長します。
そのため矯正治療を行うことにより、口唇閉鎖を容易にして、口腔乾燥も改善されることにより、プラーク付着の減少を図ることができて、ブラッシングも容易になります。
(2)歯肉増殖症に対する処置
口呼吸を長期に行ってきた場合、前歯部に歯肉増殖を起こしやすくなります。
前歯における歯肉増殖は口唇閉鎖を困難にします。
そして常に口が開いてしまうと、さらに前歯の歯肉が乾燥し、歯肉の乾燥や増殖を強め、さらに口を閉じるのを難しくさせるという悪循環に陥ります。
そのために歯肉の炎症や増殖を除去することが大切であり、徹底したブラッシングでお口の中を清潔に保つことが必要です。
またそれでも改善が認められない場合や重度の歯肉増殖の場合は、歯肉を外科的に切る歯肉切除術が適応となります。
(3)口唇閉鎖不全の改善
起きている時は鼻呼吸を行っていますが、寝ている時は口呼吸をしている場合があります。
この場合は補助用具を用いて、睡眠時の口呼吸を防ぐ方法があります。
その方法としては、サージカルテープを口唇に直接貼る方法やオーラルスクリーンを使用する方法があります。
サージカルテープというのは通気性のある絆創膏で、かぶれにくい特徴があります。
サージカルテープを2枚用意して、鼻下から下唇にかけて2枚平行に貼って就寝します。
オーラルスクリーンとは厚手のビニールで作った楕円形の膜で歯と唇の間に入れて就寝します。
サージカルテープやオーラルスクリーンを使用して、1~2日は異物感のため無意識にこれらの補助器具を取り除いてしまうことが多いですが、それ以降は慣れてくると言われています。
②習慣性口呼吸の治療法
鼻疾患や歯並びが治った後も習慣的に口呼吸している患者さんに対しては、口を閉じて呼吸をする練習をしてもらいます。
このような患者さんの多くは口唇の筋力が弱いため、口輪筋などのトレーニングが必要になっていきます。
いかがでしたでしょうか。
口呼吸にも様々な分類、治療法があります。
いずれにしても多くのリスクがありますので、口呼吸にお悩みの方は是非一度ご相談ください。