みなさん、こんにちは。
大郷町歯科医院、院長の室月です。
皆さんは歯医者さんに「歯の神経の治療をします」と言われたことはないでしょうか。
歯の神経の病気を歯髄疾患と言いますが、この歯髄疾患になる原因は様々あります。
今日はそんな歯髄疾患の原因についてお話しできればと思います。
一般的な歯髄疾患の原因は、細菌的、物理的、化学的に分けられます。
一つ一つ詳しく見ていきましょう
①細菌的原因
もっとも一般的な歯髄疾患の原因は細菌です。
細菌が歯の神経へ侵入する経路としては、次の4つが挙げられます。
(1)虫歯
もっとも一般的で、虫歯が象牙質から歯の神経、歯髄へと移行します。
すなわち、象牙質に侵入した細菌が産生した毒素または細菌自体が歯髄へと侵入する経路ということになります。
(2)外傷
スポーツ、転倒などにより外傷に伴う歯の破折や歯の亀裂からの感染によって、露出した歯髄に直接感染する経路です。
(3)逆行性
歯周組織疾患(歯周病など)の進行に伴い、歯の根っこの先端から歯髄に感染する経路です。
(4)血行性
非常にまれではありますが、菌血症で血行性に歯髄に感染する経路です。
②物理的原因
物理的原因は、機械的、温度的、電気的、気圧変化に分けられます。
(1)機械的原因
外傷、咬耗、摩耗、歯の亀裂などがあります。
(2)温度的原因
歯を削るときの摩擦熱により、歯髄疾患を引き起こす場合があります。
そのため、歯を削る治療の際は水を出しながら行うことが一般的であります。
また詰めた材料の硬化反応熱によって、歯髄疾患を引き起こす場合もあるので、症例によっては使う材料などを配慮する必要性があります。
(3)電気的原因
口の中の銀歯の接触によってガルバニー電流というものが生じて、一時的に痛みが出ることがありますが、歯髄に障害を引き起こすことは少ないとされています。
口の中の診断や治療目的で使用される機器の過度の通電により症状を引き起こすこともあります。
(4)気圧変化
航空機搭乗や潜水などにより、歯髄に加わる大きな気圧変化により疼痛を引き起こすことがあります。
③化学的要因
歯に詰める材料によっては、歯髄刺激性の化学物質を有する材料もあります。
例を挙げると、リン酸亜鉛セメントは中等度の歯髄刺激性を有しますが、カルボキシレートセメントやグラスアイオノマーセメントは歯髄刺激が少ないと言われています。
いかがでしたでしょうか。
今回は歯髄疾患を引き起こす原因について説明してきました。
様々な原因はありますが、最も一般的な原因は虫歯による歯髄疾患であります。
虫歯の早期発見により防ぐことはできますので、是非定期的な歯科受診をお勧めします。