嚥下とは?

みなさん、こんにちは。

大郷町歯科医院院長の室月です。

 

最近、食事中にたまにむせてしまったり、食べ物が飲み込みにくいと感じたことはないでしょうか。

今日は食べ物を口に入れて、飲み込むまでの一連の動作である「嚥下」についてお話ししていこうと思います。

まず、嚥下とは食べ物が口腔から咽頭、食道を経て胃に送り込まれる一連の動作を意味しています。

そして嚥下は以下の5つのステージに分けることができます。

① 認知期(先行期)

食物を認知してから口腔内に取り込む期

② 準備期(咀嚼期)

食べてから食塊を形成するまで咀嚼を行う期

③ 口腔期

食塊を後方に送り込むための舌の運動の開始から、咽頭期が誘発されるまでの期

④ 咽頭期

嚥下反射が誘発されてから食塊が咽頭を通過されるまでの期

⑤ 食道期

食塊が食道入口部から胃に送り込まれるまでの期

この5つのステージがスムーズに移行されないと誤嚥の原因となってきます。

高齢者における不顕性誤嚥(むせない誤嚥)や老人性肺炎の一因としては、咀嚼障害や嚥下障害が挙げられます。

この原因としては、加齢に伴う嚥下反射と咳反射の低下や、脳血管障害や認知症などの神経疾患があります。

無歯顎(上下顎に歯がなく、総入れ歯の人)では、噛み合わせの位置がないため、下顎の動く範囲が大きくなり、食物の送り出しが完了するタイミングと気管を塞ぐタイミングが近いため、誤嚥が誘発されやすい状態にあります。

なお、1日の平均嚥下回数については約600~2500回と個人差やばらつきがあるという報告があります。

嚥下するときに見られる上下顎の歯の接触は、噛み合わせにより大きな圧力が生じます。

したがって、左右の歯が均等に接触しない場合には、片側にのみ力が加わるために接触する歯及び歯周組織に負担をもたらすことや、筋肉や顎関節を障害することがあります。

したがって、入れ歯や被せ物の役割というのがきわめて重要になってくるといえます。

また、嚥下障害にはお口周りの筋肉が非常に緊密に関わってくると言われています。

繰り返しのお話になりますが、お口周りの筋肉のトレーニング方法をお話ししたり、お口周りの筋力測定を保険治療内で歯医者さんで行うことができます。

対象となる方とならない方がいらっしゃいますので、ご興味のある方はわたくし、あるいは当院スタッフまでお気軽にお尋ねください。

5月というのに初夏の陽気を感じる今日このころです。

皆さまにおかれましては、体調管理には十分に気を付けてくれぐれもご自愛ください。