誤嚥性肺炎の予防  40

皆さん、こんにちは。大郷町歯科医院の院長、嶋です。
今月ももう終わりで来月から3月です。3月1日は卒業式が行われるとのこと。自分も何十年前には卒業式に出席しました。一番思い出にあるのは大学の卒業式ですね。皆さんは卒業式でどんな思い出がありますか?
さて今回は、嚥下のトレーニングだけでは足りないことが多いので、前回は姿勢を良くするトレーニングをお伝えしました。
今回は呼吸のトレーニングについてお伝えしていきたいと思います。
嚥下と同じように、呼吸も当たり前にできると考えが ちです。しかし、年をとるにつれて、呼吸機能も少しず つ衰えていきます。 嚥下と呼吸は密接に関係しています。 意識はしていませんが、飲みこむタイミングに合わせて、 人は呼吸をしているのです。
①飲みこむ直前は、息を軽く吸っている
②飲みこむ瞬間は、呼吸を止める
③食べ終わった後、息を吐き出す
飲みこみと呼吸のタイミングが合ってはじめて、スムー ズな飲みこみができます。 きちんとした呼吸ができない と飲みこみのタイミングがずれてしまい、気管に異物が 流れこむ可能性が高くなります。また、気管や肺に異物 が入っても、すぐに吐き出せません。 そのため、呼吸機 能が衰えると、誤嚥性肺炎にかかりやすくなったり、窒 息しやすくなったりするのです。
ですから、ふだんから、 正しい呼吸ができるようにトレーニングすることが大切 です。 呼吸には胸式呼吸・腹式呼吸があります。 どちら も重要なので、両方できるようにしましょう。
1. 胸式呼吸
胸郭を大きく広げて行う呼吸法です。 胸郭とは、肋骨を中 心とするかご状の骨格のことです。 空気を吸えば胸郭は広 がり、吐けば狭くなります。 胸郭の柔軟性を維持すると、呼 吸が楽にできます。 胸式呼吸では、胸郭をしっかり動かすこ とを意識してください。
鼻から空気を吸いこみます。 胸郭を大きく開いて、 空気 を肺に取りこみます。 胸郭 をできるだけ狭くして、口か ら大きく息を吐きます。
目安
胸を大きく広げて小さく縮 ませる呼吸を、 1日2~3回、 ゆっくり行ってください。
2. 腹式呼吸
横隔膜を上下させて行う呼吸です。 腹式呼吸だからといってお腹だけを使うのではなく、 からだ全体を使う意識が大切です。 からだ全体を使うことで腹圧が高まり、大きく横隔膜を動かすことができます。 紹介する方法は、 上半身を使うために壁を押しています。 もし壁がなければ、両肩を上下させるなど上半身をしっかり動かしながら腹式呼吸をしてください。
壁の前に立ち、 腕を90度に曲げ、 手のひらを壁につけます。 鼻からお腹まで深く空気を吸いこみます。 壁を押しながら、タイミングを合わせて「フッ、 フッ」と息を強く吐きます。 ① お腹に力をいれる、 ② 息を吐く、 ③ 壁に手を押しつける、 をタイミングよく同時に行ってください。
目安
壁押し呼吸を3回1セットで、2~3セット行ってください。
参考文献 メイツ出版 「のどを鍛えて誤嚥性肺炎を防ぐ 嚥下トレーニング」