誤嚥性肺炎の予防 36

皆さんこんにちは。大郷町歯科医院の院長、嶋です。
今年もあと数時間となりました。皆さんの一年はどんな一年でしたか?
自分はわんこが家に来てわんこ中心の家になりました。とても充実した生活を送れるのもわんこから癒しを頂いているからなんだと実感した一年でした。まだまだ自分もわんこも長生きしていきたいと思いますので来年もどうかよろしくお願いいたします。
さて今回は「飲み込み力」に関わる反射を知って行きましょう。
反射とは、特定の刺激に対して人の意志を介さずに起こる反応のことです。体にとって重要な働きは、頭で判断せず、自動的に行えるようになっています。「飲み込み力」には次の3つの反射が関係しています。
嚥下反射
この反射は、食べ物や唾液などがのどに入ると飲み込む動きを起こします。しかし、普段は口に入れたものを反射的に飲み込んでいます。
咽頭反射
口を開けて、棒で喉を突いてみると、「ウエッ」となります。それが咽頭反射です。歳をとるとこの反射が鈍くなり、反応しにくくなります。スプーンで喉を突いて「ウエッ」となるのはまだ若い証拠です。
咳嗽反射
咳嗽(ガイソウ)反射は喉や気管の粘膜が刺激されると咳が起こる反射です。喉や気管の感覚が鈍ると、咳がうまく出なくなります。咳は、喉や気管から異物を外に出す役割があり、咳がしっかり出れば、気管に食べ物が残らず、誤嚥性肺炎は起こりにくくなります。
次に食べ物を飲みこむメカニズムをお伝えして行きます。
①先行期  まず食べ物を口まで運びます。
食べ物を目で見て、においを嗅ぎます。
②準備期  食べ物を飲み込みやすくまとめます。
食べ物が口の中に入ったら舌の先が硬口蓋にくっつき食べ物を外に逃さないようにし、食べ物を噛んで細かくし舌に乗せ、飲み込みやすいようにまとめます。その後舌が上下に動いて、食べ物を後ろに送り込みます。
③口腔期  喉頭に食べ物を送り込みます。
舌と硬口蓋の間を通って、食べ物が舌の奥に送り込まれます。
④喉頭期  喉頭から食道に送り込まれます。
軟口蓋が上がり、鼻の方向に食べ物が流れ込まないようにし、舌が後ろに動いて食べ物をのどに送り込みます。そして喉頭蓋がひっくり返り、声門を隠し、その声門は閉じて呼吸を止めます。喉頭が舌の根元まで持ち上がり、食道の入り口の筋肉が緩み食べ物が下に落ちて行きます。
⑤食道期  食道から胃まで送り込みます。
軟口蓋、舌、舌骨、喉頭は元の位置に戻り、声門が開きます。
この①〜⑤が一連の動作で食べ物を飲み込んでいます。
参考文献 メイツ出版 「のどを鍛えて誤嚥性肺炎を防ぐ 嚥下トレーニング」