誤嚥性肺炎の予防 5

皆さん、こんにちは。大郷町歯科医院の院長、嶋です。
9月もそろそろ終わりに近づきコロナの感染拡大も少し落ち着いてきて緊急事態宣言も解除の方向に向いています。皆さんが一つ一つ気遣えば段々と収束も見えてくるのではないでしょうか?そうなれば色々できなかったことが段々とできるようになり、以前の生活に近づいてくるかもしれません。今まで暗かったこの世の中が明るくなりますね。皆さんお互いに頑張りましょう。

 

今回も嚥下障害についてお話ししていきます。
嚥下障害になると食事も介助が必要になります。しかも3食介助が必要になるので時間もかなりかかります。
介護施設の現状を見ると人材も不足していると言われております。そして高齢化が進んでいるので状況はさらに悪化していきます。65歳以上の高齢者は3,640万人で過去最多を更新して、総人口の29.1%が65歳以上で世界で最も高くなっています。65歳でも今はかなり若い方に見られますが、確実に嚥下機能は衰えてきています。さらに2030年には75歳以上の割合が19.2%と増える予想です。
現状の嚥下リハビリを行っていても現状維持が精一杯で、改善できるくらいの嚥下機能を上げることは不可能と言われています。

 

最終的に飲み込み力が衰えてくると胃ろうや経鼻チューブで栄養を補給しなければならなくなります。現在はこの処置がいろんな議論をされてはいますが、できれば最後まで口から食事をしていきたいものです。
高齢者にはできるだけ口から食事をしてもらうことが大切です。そこで主に行われているのが飲み込みやすい食べもににしたり食べるときに介助することがほとんどです。患者さんの自発的な努力はほとんどないので全て介助者により嚥下ケアはされます。嚥下ケアの充実度はその介助者により左右されます。
ここで先ほど述べたように介護施設の人材不足によりどんどん自分で食べれない方などは施設に入れなくなってしまいます。そうなると自分たち家族の誰かが介護することになります。一日中介護をすることになるので仕事を辞めなければなり自身の生活も破綻しかねません。高い目標を持つことは大切ですが、その目標が義務化されるようになると、社会にとって高いハードルになってしまいます。
将来を考えると、飲み込み力が衰えきる前に、自分自身で嚥下機能を維持改善できるようにすることが社会的にも必要です。

 

参考文献 メイツ出版 のどを鍛えて誤嚥性肺炎を防ぐ 嚥下トレーニング