ケトン体?

皆さんこんにちは。大郷町歯科医院の院長の嶋です。
10月にもなり衣替えを済ませ、また新たな気持ちで仕事や学業に励んでいると思いますがいかがお過ごしでしょうか?今年は新型コロナウイルスにより自粛ムードがまだありますので行動ができない状態が続いておりますね。ただ経済を回さないと日本自体も危なくなるので使える所にはお金を使っていきましょう。
さて今回も認知症になりづらい食事についてお話しさせていただきます。
前回は脳が疲れた時にブドウ糖を大量に消費すると伝えました。体にはそれ以外にもエネルギー源になる物質があります。それはケトン体という物質です。このケトン体は肝臓で作られます。原料は遊離脂肪酸です。通常ケトン体は血液中にはほとんど存在しませんが糖尿病や糖質制限、絶食などになるとエネルギー源として使われます。

 

脂肪酸がケトン体となって働く仕組みというと、
脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪は脂肪酸を切り離し血中のアルブミンと結合して肝臓に運ばれます。肝細胞に脂肪酸が取り込まれるとアセチルCoAで分解されこのアセチルCoAからケトン体であるアセト酢酸とβーヒドロキシ酢酸が作られ筋肉や脳のエネルギー源として利用されます。

 

ケトン体は中性脂肪を消費しますのでダイエットにもなります。
前回お話ししたインスリンと共にケトン体も脳で活発に消費される様になると脳の働きが良くなりさらに疲れにくくなるとのことです。また若さの秘訣とも言われておりますので老化を遅らせることができるので認知症のリスクも少なくなります。

 

ケトジェニック、ケトン食、などとも言われているダイエット方法があります。このダイエットはまさにこのケトン体を意味しているもので十分な量のタンパク質と大量の脂肪を摂取し、炭水化物を可能な限り避けた食事方法です。
砂糖や甘い果物、でんぷんなどの摂取を避けて、ナッツやバターなどのLCT(長鎖中性脂肪)やMCT(中鎖中性脂肪)などを摂取することによりケトン体の生産量を増やしていきます。
この食事療法は頭痛、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病やアルツハイマー病、睡眠障害などに対しての効果や作用が盛んに研究されています。
歯周病にもこのケトン食(糖質制限)が効果があるのではとは言われてはいますがまだ明確なエビデンスがありません。ですが肥満や糖尿病などと歯周病との因果関係は研究にて立証されています。間接的にも効果はあると思いますので気になる方はやってみても良いかと思います。

 

【参考文献】認知症にならない最強の食事術 著者 江部康二 宝島社