続、 口から食べれなくなったら

こんにちは、大郷町歯科医院、院長の嶋です。

前回は口から食べれなくなったらどうするのか?というお話をさせていただきました。

 

今回も少し続きを話させていただきます。

 

前回、胃ろうの話をさせていただきました。
では胃ろうって今の介護現場ではどうなってるの?という疑問があります。

 

ある資料によりますと1230施設で調査したところ1施設当たりの胃ろう者の平均は10.5%でした。
多いところでは42.0%もの胃ろう者がいるところもあります。

 

なぜ胃ろうにしなきゃならないのか?ということを考えると
脳卒中両側麻痺の一部の人や重症脳卒中、パーキンソン病、ALS、小脳脊髄変性症などの疾患がある人や認知症のために食べなくなった人や
むせが多く誤嚥性肺炎を繰り返す人が、胃ろうにしているという現状です。

 

これらの中でむせが多くなったり誤嚥性肺炎を繰り返す人にはそれまでの食事形態が大きく関わっていることがよくあります。

 

うまく噛めないとか、常食では食事時間がかかるという理由で柔らかい食事に変わっていく。
そこで食べる時間を短縮する理由で介護者が流し込んで食事を介助していくことがよく見られます。
他人が介助して食べ物を口に入れていくと本人の摂食嚥下のタイミングと介護職が入れるタイミングにズレが生じて誤嚥が起こりむせが起こっています。

 

むせや誤嚥を起こす原因としては常食ではなくお粥、刻み、ペースト、ミキサー食などの柔らかい食事や介助の仕方など介護するこちら側に原因があることが多いと感じます。。

 

それと極端に水分量が不足していることも原因の一つです。
水分が不足してくると意識レベルが低下、口腔機能の低下、唾液分泌の低下が起こり口の中で食物のコントロールが出来なくなってむせてきます。

 

そして一番大事なことはしっかり噛める歯があるかどうか?ということです。
歯がすべてそろっている人はむせずらいというデータがあります。歯が無くても適合の良い入れ歯を入れていてもむせずらいのです。

 

これらをまとめると自分で常食を食べ、水分もしっかり取り、しっかり噛める口腔内が出来ている人ほどむせや誤嚥を起こしにくいということになります。

 

こういう人を増やしていくことによってもっと胃ろうにしなくてもいい人を作ることが出来ると思います。

 

また認知症の方の胃ろう造設については疑問があります。
ご本人が理解出来る間に胃ろうをして生き続けたいのかどうか、人間の尊厳をどう捉えるかを聞いておいたほうがいいと思います。
単なる延命とならない様に施設側もご家族にちゃんと話をしていかなければならないと思います。

 

【参考文献】 自立支援介護ブクレット④「食事」 著者 竹内 孝仁   筒井書房