誤嚥性肺炎の予防 31

皆さんこんにちは。大郷町歯科医院の院長、嶋です。
コロナウイルスは少し落ち着いていたかのようですが、また感染者が多くなってきました。コロナワクチンと共に気をつけなければならないのがインフルエンザウイルスです。インフルエンザも重症化して死亡することがありますのでここ最近の気温の寒暖差により風邪症状だと思っていたらインフルエンザだったなんてこともあり得ると思います。皆さん気をつけてくださいね。
では今回も嚥下トレーニングをもう少し詳しく解説していきます。
今回は飲み込む時の舌の動きを知ろうです。
3つ目の嚥下トレーニング③舌を鍛えるトレーニングは、喉頭とつながっている舌を鍛えることで、「飲み込み力」を高めます。
嚥下時の舌の動き
舌は食べる時に次のような重要な役割を果たしています。
①食べ物を飲み込みやすくまとめる
歯で食べ物を噛むのに合わせて、食べ物の形を整えて飲み込みやすくします。さらに、口の中に散らばった食べ物をまとめて、舌の上におき、飲み込む準備をします。
②食べものや飲み物を口の中から喉に送り込む
舌の上に食べ物がのって飲み込む準備ができれば、舌の真ん中を押し上げます。舌の真ん中が膨らむと、硬口蓋と舌との間の食べ物に圧がかかり、喉の中に食べ物が送り込まれます。
そして、喉頭が上に動くのに合わせて、舌も口蓋に押し付けられ喉の空間を無くすように働きます。食べているときは、この動きを連続して行います。
舌は喉頭と連結しているので、舌が上に動くと、喉頭も一緒に上に動きます。
食事の時は、舌はこの動きを繰り返しおこなっています。しかし、飲み込むときには舌も反射的に動かしているので、この複雑な動きを意識することはないのです。
嚥下には舌の形を変える動きが重要
舌の動きには、2種類あります。
まず、舌を前後左右に大きく動かすことです。この動きで、口の中の残渣物を取り除くことができます。もう一つは、舌の形を変える働きです。この動きで声を出すことができます。
歳を取ると、舌を動かす力が衰えてきます。舌の動きは、2つとも重要ですが、特に、舌の形をうまく変えられないと、「飲み込み力」がかなり弱くなります。舌の形をうまく変えられなくなると、舌の上で、食べ物をうまく乗せられることができなくなります。人は、舌の上に食べ物をうまく載せて飲み込んでいます。食べ物が舌の下に落ちてしまうと、舌の下に溜まった食べ物が遅れて喉に流れ込むため、誤嚥しやすくなってしまうのです。また、舌をしっかりと硬口蓋に押し付けられないと、食べ物が適切な速さで喉に送り込まれません。そうなると、喉頭が上に動くタイミングがずれてしまいます。
それゆえ「飲み込み力」を維持するためには、喉頭をしっかり動かすのに加え、舌の形をしっかり変えられるようにしなければならないのです。
舌の動きのチェックはうまくできましたでしょうか?もしできなければ、舌の力が弱くなっています。トレーニングで舌の機能を高めましょう。
参考文献 メイツ出版 「のどを鍛えて誤嚥性肺炎を防ぐ 嚥下トレーニング」