誤嚥性肺炎の予防 29

皆さんこんにちは。大郷町歯科医院の院長、嶋です。
新型コロナウイルスの感染が大分落ち着いてきています。段々感染力が弱くなってきているのかワクチンが効いているのか、重症患者さんも少なくなってきている感じがしています。インフルエンザもこれから増える時期ではありますので皆さん気をつけて生活を続けてくださいね。
では今回も嚥下トレーニングをもう少し詳しく解説していきます。
今回のテーマは喉頭を上げたまま止められるようになる、です。
力強く喉頭を動かして飲み込み力の予備能を高める。
真の飲み込み力をつけるためには、ただ普通に飲み込めるだけでは足りません。余裕を持って飲み込める「のどの力」があれば、心配はなくなります。余裕を持ってできる能力のことを「予備能」と言います。
例えば、歩行機能の予備能が高ければ、走れたり、階段を上がれたりできるので、普通に歩くことは容易です。それと同じようにふだんの飲み込む動作より、力強く喉頭を動かすことができれば、飲み込み力の予備能が高いと言えます。意識的に飲み込むコツが掴めれば、普段以上に喉頭を動かし、飲み込み力の予備能を高める練習をしていきます。
まずごっくん筋を鍛えて、喉頭の挙上力を高めましょう。喉頭を上に動かして止めると、ごっくん筋に強い負荷をかけて、鍛えることができます。
喉頭を上げたまま止まっているかを確認する方法。
だいたい70歳までの人は早く習得できますが、高齢になる程難しくなります。歳をとると、喉頭が上がる高さが低くなります。指で触っても、喉頭が上がり続けているか分かりにくい場合があります。また、喉頭を上げ続けようとしても、ゆっくりと喉頭が下りてしまうために、手で触っても、喉頭を上げたまま止められているのか確認しにいくことも有ります。女性はのどぼとけが小さく、上げて止められているかどうかわからないことがあります。コツが掴みにくい場合は、とにかく水を飲んで、力の入れどころを掴むよう練習を続けてください。
喉頭を上げたまま止める
飲み込んでごっくん筋が硬くなったところで力を入れ続けます。顎の下に疲労感を感じるのを目標としてください。
方法
1指を首の前に当て、水を飲み込み喉頭が上がったところで力を入れ続けます。
2力を抜いて息を吐き出す。(喉頭が元の位置に戻る)
①できなければ、ごっくん筋に疲れが残ることを目標にしましょう。繰り返し練習するうちにコツが掴めるようになります。
②最初は一瞬、または数秒から始め、慣れたら5秒、10秒と長く止められるよう目指しましょう。ただし、喉頭を上げたまま止めるときには、呼吸が止まっているので、苦しくなったらすぐやめるようにしてください。
③「飲み込み力」が弱くなると、液体を 1回では全て飲みきれず、一部が喉に残ります。のどに液体が残ったまま、喉頭を上げ続けると、力を抜いた時に、喉に残った液体が気管に流れ込んでしまいます。ですから、液体を使ったトレーニングを行う場合、喉頭を止めることにより、まず、しっかりと液体を飲み込むことに集中してください。
④力を抜いた瞬間に息を吐くと、気管の中に水が入るのを防ぐことができます。
参考文献 メイツ出版 「のどを鍛えて誤嚥性肺炎を防ぐ 嚥下トレーニング」