誤嚥性肺炎の予防  11

皆さんこんにちは.大郷町歯科医院の院長、嶋です.
今年もあとわずかとなりました.皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
新型コロナウイルスは少し落ち着いたものの、またオミクロン株によって少しづつ増えて来ている感じがします.
ただまだ自分の周りまでは来ていないように思いますが、油断していると知らないうちに感染しているってことになりかねないので、手洗い、うがいなどは常日頃していきましょうね.
それでは前回に引き続き誤嚥性肺炎の予防についてお話ししていきます.
もう少し詳しく、飲み込む動作を説明いたします.
飲み込むときにもっとも重要な役割を果たすのが、のどぼとけがある「喉頭」です.
人は食べ物と空気を一つの通路で体の中に取り込んでいます.そのため、食べ物は食道へ、空気は気管へ、別々に送り込まなければなりません.喉頭は食べ物と空気を交通整理しています.喉頭が上に動くことで、食べ物を食道に送り込んでいるのです.もし、喉頭の動きが弱くなれば、食べ物が気管に入ったり、空気が食道に入ったりしてしまいます.食べ物などの異物が気管に入ることを「誤嚥」と言います.
1  喉の中を絞り込んで食べ物を食道に送り込む
食べ物が喉に入ると喉頭と舌を上に動かし、喉の中を狭くしています.喉を狭くする圧力で、食べ物を喉から食道に運んでいるのです.
2  気管に食べ物を入れないようにする.
飲み込む時には、空気の通路である気管に、食べ物を入れないようにしなければなりません.喉頭が上に動くことによって、喉頭蓋が反転し、声門を無意識のうちに閉じ込めています.このようにして気管に食べ物が流れ込まないようにしているのです.
つまり喉頭が上に動くことで、食べ物を食道に送り込みつつ、気管に食べ物を入れないようにしているのです.
嚥下トレーニングの核は、できるだけ早く、意識的に喉頭を動かす訓練をすることです.しかし「喉頭を動かす」と説明してもすぐにそれをできる人はほとんどいません.大抵の人は、反射的にしか喉頭を動かせず、どうしたらいいかわからなかったり、意味が理解できなかったりします.しかし、それは、飲み込み力が低下しているからではありません.多くの人は喉頭を動かすコツが掴めていないのです.コツを掴むために、段階を追って、喉頭を動かせるようにしていきましょう.
人間の体はこのように上手くできているのです.この動作がだんだんできなくなってきて「誤嚥」を引き起こしてしまいます.もしむせやすいとか、よく喉に詰まるとかの症状があるときは是非当院へお越しください.
「参考文献 メイツ出版 のどを鍛えて誤嚥性肺炎を防ぐ 嚥下トレーニング」