神経を取った歯の注意点

こんにちは!大郷町歯科医院の大杉です。

少しずつ暖かくなり、春が近づいてきたのを感じます。

春といえばスギ花粉。花粉症の方々には辛い時期にはいるのではないでしょうか。

ちなみに自分も花粉症です。ここ数年で急に症状が強くなったのが悩みの種です。

近ごろは新型コロナウイルスのニュースもあり、日頃よりさらに手洗いうがいを徹底したいと感じました。

さて皆さんは歯の神経を取ったことはありますか?自分は1箇所、歯の神経を取ったところがあり、今はその部分に被せ物が入っています。

皆さんの中には「虫歯が大きくて歯の神経を取ったけど、しっかり治療してもらったからもう大丈夫!」と思われている方がいるかもしれません。ですが神経を取った歯は虫歯のない健全な歯と比較した時に、考えられるリスクがいくつかあるのです。

今回はそちらについてお話しさせていただければと思います。

まず神経を取った歯は神経と一緒に走行している血管もなくなってしまうため歯の組織に栄養がいかず、健全な歯に比べると歯自体が折れる・割れるという可能性が高くなります。

歯は縦に割れた場合、その歯の周りの骨が溶けて歯肉が腫れたり痛みが出ることが多い為、抜歯になるケースがほとんどです。

歯の神経を取る場合ほとんどのケースでは歯全体を包み込むような被せ物を入れる必要性があります。これは上記の通り歯自体の強度が落ちてしまったり、そもそも歯が虫歯で大きく溶けていることが多いためです。

2つめのリスクは被せ物を入れると歯と歯肉の境目にプラーク(細菌の塊)が付着しやすくなり、歯周病にかかりやすくなるということです。さらに人工的な被せ物と残った歯質の目には見えない隙間から虫歯も再発しやすくなります。

3つめに、歯の神経を取ると根の先に膿を持つ病気(根尖性歯周炎)にかかりやすくなるということが挙げられます。

健全な歯の場合、神経のある部屋は無菌状態です。しかし虫歯ができて歯の神経を取る治療を行う時は神経のある部屋を開ける必要があり、その時に部屋の中は無菌状態ではなくなってしまいます。どんなに丁寧に神経を取る治療ができたとしても完全な無菌状態に戻すことはできません。

大きな虫歯の神経を取って被せ物が入り治療が終わっても、何年か経った時に噛んだ時の痛みが…歯医者に行ってレントゲンを撮ってみると根の先に膿の像が…ということは珍しいことではありません。

しかし膿を持つ病気になった場合、必ず治療が必要になる訳ではありません。この病気は日常過ごす分には症状のないことが多く、例えば風邪をひいていたり疲れていたり寝不足だったりと身体の抵抗力が落ちた時にだけ痛み腫れが出るという方も多いのです。加えて膿が溜まった時の治療(感染根管治療)はデメリットもあるため(今回は割愛します)、この痛みの出る頻度や病気の大きさによって治療をするかどうか判断することになります。

これらの理由から歯の神経を取ると歯自体の寿命が短くなり、ゆくゆくは抜歯をして歯を失うことにつながってしまいます。その失くなった部分を仮にブリッジ(連結した被せ物で修復する方法)を入れた場合、ブリッジの支えにした歯に負荷がかかることになり今度は支えの歯の寿命が縮んしまうのです。

神経を取ると取らない場合に比べて治療にかかる費用や期間だけではなく、後々その歯の喪失につながり、そこからお口の中全体に影響を及ぼすことが考えられます。

「痛くなってから行けばいいや…。」と思われるかたもいるかもしれませんが早めの受診をおすすめ致します。

当院は予防歯科として定期的なメンテナンスも行っております。ご興味のある方はスタッフまでお気軽にお声がけください。