8020運動の問題点について…考えてみた…

こんにちは。大郷町歯科医院院長の橋本です。

今年こそは、家の芝を綺麗な緑に育つ様に頑張ろうと思っていた矢先…龍の髭が思いっきり枯れました…。

最悪です…。

さて、皆さんは8020運動を御存知でしょうか?

最近は、認知度も広がってきた様には思いますが…。さて…8020運動と80歳で20本の歯を保とうと、平成元年に、厚生省(現・厚生労働省)、日本歯科医師会などによって 提唱された運動の事です。

日本人の平均寿命は、男性が79・19歳、女性が85・99歳で、日本は世界有数の長寿国です。

しかし、平均寿命は長くなっても、歯の寿命はそれに追いついていません。

成人の歯の数は、親知らずを含めると全部で32本ですが、厚生労働省の「歯科疾患実態調査」 によると、40歳代を境に減り始め、60歳代で20本、80歳ではわずか8・21本にまで減ってしまいます。

なぜ、20本かというと、自分の歯が20本あれば、ほとんどの食べ物をかみ砕くことができ、食事をおいしくたべることができるからです。そして、食べる楽しみは生きる意欲にもつながります。

ちなみに、8020運動が開始された当初、「8020」を達成している高齢者(後期高齢者:75歳以上)は10人に1人にも満たない状況でした。しかしその後「8020」達成者の割合は増加し、平成23年歯科疾患実態調査では、後期高齢者の37%が達成してることが示され、今後も増加することが予測されています。

さて、とても素晴らしい事の様なのですが…実は現状はなかなか素直に喜べる事でもないのです…。理由は、その残っている歯の状態です。歯周病や虫歯の無い状態…即ち健康的な状態で歯が残っていれば良いのですが。

例えば、過去に治療が行われ被せ物が入った歯が2次的に深刻な虫歯になった状態で残っていたり、歯周病に罹患して歯は深刻な状態にも関わらず、過去の治療で歯が連結されているため、見かけ上は歯も動かず異常に気づかない状況だったり…。

少し、イメージが湧き難い事を書きましたが…要は、本来抜歯適応な位に不健康な状態で歯が残っているという事です。

もし、その患者がそのまま寝たきり状態になったら…極めて治療は困難になりますし、その様な歯が残っている事で口腔内は不衛生になり誤嚥性肺炎のリスクが極度に上がる事になります。

結論…8020運動は素晴らしい活動ですが、20という数字に拘るより…その数字の中身を考える時期に来ているのではないでしょうか。